2001(H13)年度 山口県小学校教育研究会算数部研究課題
     算数を楽しむ子どもを育てる
〜一人一人の算数的活動を生かし、考えを高める授業〜
 21世紀の算数教育を考えるとき、教える側と学ぶ側から次の問題が提議されている。
1つは「学力低下」を防ぐ問題、もう1つは「算数好きの子どもの減少」をくい止める問題である。

 前者については、マスコミでも大きく取り上げられているが、学力低下の議論以前、算数科において何が「学力」であるかといった議論の方がより多くの示唆を与えてくれる。
計算のやり方を知り、早く正確に計算できるといった知識の量や技能の確実さだけで、学力を語ることはもはやできなくなっているのではないだろうか。

 後者については、以前から指摘されている問題である。
国際教育到達度評価学会が1999年に実施した「第3回国際数学・理科教育調査」においても、学力は国際的に上位に位置しているものの、算数好きの子どもの割合が、前回調査(1995年)よりも減少し、最下位レベルに位置していると報告されている。

 子どもたちが、算数科で何をどのように学んでいけばよいかということが問われているのである。

 一昨年度から、算数を学ぶことそのものを「楽しむ」子どもの姿を求め、研究主題として「算数を楽しむ子どもを育てる」を掲げ、「算数的活動」について研究を進めてきている。
子どもの知的好奇心を揺さぶり、学習意欲を喚起することができる教材の開発とともに、作業的・体験的な活動を取り入れた動的な授業過程への工夫など、さまざまな取組みが行われきた。
「子ども一人一人が知識を獲得し、技能を身に付けていく過程を重視していこう」という授業に対する考え方が着実に広がってきている。

 その具体的な成果については、会誌「算数教育」に報告されているとおりである。子どもが生き生きと活動している姿を、読みとることができるであろう。

 反面、このような授業に対して「活動ばかりで、本当に子どもに算数の力がついているのか?」という指摘があることも事実である。
算数的活動の質の問題もさることながら、その単元での基礎・基本とは何かをとらえ直して、算数的活動のねらいとその活動でつけることができる力を明確にしておく必要があろう。
子どもにとっても、その時間や活動で、何を学び、何が分かったかを自覚できる場や状況がなければ、活動がはい回り続けることにもなりかねない。
一人一人が自分の活動を振り返り、価値付けていくことを通して、考えも深まっていくのである。

 また、異なる考え方や考えた結果を友達と相互に比較検討し合う場を充実させることも重要であろう。
せっかく問題解決の場で一人一人の子どもが自分なりに考えを深めているにもかかわらず、いざ、まとめの段階で教師が予定した標準的な結論や考え方に引っ張り込んでしまい、所定の結果を押しつけて終わりとしている場合も見受けられる。
他者とかかわり合う過程で、一人一人の考えが、より簡単に、より明確に、より統合されたものへと高まり、算数の力として身に付いていくはずである。
その主体的な話し合いの中で、自分の考えが認められることや他者と算数をつくりあげていくことに喜びを感じ,新たな意欲へとつながっていくことを期待している。

 そこで、本年度は「一人一人の算数的活動を生かし、考えを高める授業」を副題として掲げたい。
移行期2年目の今年度。授業時数的にはかなりのゆとりが生まれている。
新指導要領実施に向けての思い切った取り組みを試行するチャンスとして、そのゆとりを有効に活用していきたい。